テーブルクリニック


11:00~

神奈川県歯科衛生士会

「歯科衛生士法一部改正と業務範囲について」
~正しい歯科衛生業務を行うために~

(公社)日本歯科衛生士会 顧問(前会長)
金澤 紀子 先生

歯科衛生士法(以下「法」という。)は昭和23年に制定・公布され67年を経過しました。その間、今日まで、歯科衛生士の定義を定めた法第2条に係る改正は3回行われております。昭和30年の改正では、法第2条第2項に「歯科診療の補助」が追加され、平成元年の改正では第3項に「歯科衛生士の名称を用いた歯科保健指導」が加わり、併せて、免許権者が都道府県知事から厚生大臣(現、厚生労働大臣)になりました。そして、平成26年の改正では、法第2条第1項において歯科衛生士が「歯牙及び口腔疾患の予防処置」を実施するに当たり、歯科医師の関与の程度を「直接の指導の下に」から「指導の下に」とし、「女子」を「者」に改め、併せて、第13条の5に「業務を行うに当っては、歯科医師その他の歯科医療関係者との緊密な連携を図り、適正な歯科医療の提供に努める。」との条文が追加されました。この規定は予防処置に限らず、すべての業務に係りますが、これからの保健・医療・福祉の連携による歯科保健医療サービスの提供体制に対応したものと考えることができます。

これまで、歯科衛生士業務の多くは歯科診療所等の外来患者を中心に行われており、歯科完結型の業務となっていましたが、近年の医科歯科連携のチーム医療においては周術期等の口腔ケアが医療保険に導入され、病院内の医科歯科連携とともに医科病院と歯科診療所の連携(病診連携)による対応が求められております。

また、団塊の世代が75歳以上となる2025年を目途に、要介護状態になっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続けることができるよう、医療・介護・予防・住まい・生活支援を一体的に提供する地域包括ケアシステムの構築に向けた準備が進められています。その中で、歯科医療は、その多くを地域の歯科診療所が支えていますが、他の職種と連携したり、他の医療機関や介護施設等と連携することは少なかったように思います。しかし、昨今では、元気な患者さんだけではなく、要介護の高齢者や基礎疾患のある方、そして認知症の方も受診します。また、来院できない方の歯科医療・口腔ケアニーズにどのように応えるか、歯科衛生士は地域に目を向け、多職種と連携し、歯科と医科、介護あるいは家族との連携の架け橋となる役割が求められており、訪問歯科衛生士の役割が増大するものと思います。

歯科口腔保健は、乳幼児期から高齢期まで、健康な時も病める時も、障害があっても要介護となっても、すべてのライフステージにおける健康課題です。これからの歯科衛生士は、歯科疾患への対応のみならず、食べる、話すなど、生活の中の口腔機能の維持向上やQOLの観点から専門性を発揮することが大切であると考えます。

金澤 紀子 先生画像

金澤 紀子 氏プロフィール

一般財団法人日本口腔保健協会専務理事

略歴

1984年4月
~1993年3月
社団法人日本歯科衛生士会会長

2003年11月
~2015年6月

社団法人(現公益社団法人)日本歯科衛生士会会長

学会活動等

1993年~2012年
日本口腔衛生学会理事
1999年~2002年
日本公衆衛生学会評議員
2006年~2008年
日本歯科衛生学会長